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【卵巣腫大】妊娠中に不安になった方へ。医師が解説

妊娠中に「卵巣が腫れている」と言われた…これって病気?

結論:多くは良性で、妊娠の経過とともに自然に小さくなることが少なくありません。ただし、まれに捻転や破裂、悪性腫瘍の可能性があるため、画像の所見・大きさ・症状で見極めます。

いつ・なぜ見つかる?

妊娠して2〜3カ月目(妊娠初期)に初めて「卵巣が腫れている」と指摘される方は珍しくありません。妊娠4カ月前後にホルモンの影響で一過性に腫れて、5カ月頃からしぼむタイプもあります。全てが手術の対象ではないため、まずは落ち着いて現在地を評価します。

よくある原因

機能性嚢胞(黄体嚢胞・卵胞嚢胞)

妊娠初期のホルモンに反応して一時的に大きくなることがあります。多くは自然退縮し、追加治療を要しません。

テカ・ルテイン嚢胞(hyperreactio luteinalis)

hCGが高い状況(多胎、胞状奇胎など)で卵巣に多発性の嚢胞が出る良性変化。経過とともに自然に縮小していくことが一般的です。

良性腫瘍(皮様嚢腫・嚢胞腺腫・子宮内膜症性嚢胞 など)

妊娠中に偶然見つかることがあります。画像(超音波、必要時MRI)の特徴で良悪性の目安をつけます。

どうやって調べる?(超音波・MRI・腫瘍マーカー)

超音波(経腟/経腹)

第一選択の検査です。嚢胞の中身(液体か固形か)壁の厚さ・隔壁乳頭状突起血流などを確認します。

MRI

放射線を使わないため妊娠中でも必要に応じて実施可能です(造影剤は原則避ける)。施設によっては緊急性がなく結論に影響しない撮影を初期は見合わせる運用をしていることがあります。

腫瘍マーカー(血液検査)

  • CA125:妊娠初期に生理的に高く出やすく、100 U/mL以上になることも。数値だけで良悪性は判断できません。
  • HE4:妊娠や良性疾患の影響を比較的受けにくいとされますが、腎機能が悪いと高くなる点に注意。
    「どのマーカーを、何週に測ったか」を必ず控えておきましょう。

観察でよい場合/治療が必要な場合

観察でよい一例

  • 単純嚢胞(中がサラサラの水)で5cm未満
  • 症状がなく、増大傾向がない

この場合は定期的な超音波で経過を見守ることが多いです。

再評価が望ましい一例

  • 大きさが5〜10cm程度
  • 複雑所見(隔壁・固形成分・乳頭状突出・濃い内容)がある
  • 痛みなどの症状がある/増大傾向がある

専門医が週数・所見・症状を踏まえ、追加検査や治療方針を個別化します。

手術を検討する例

  • 捻転・破裂・出血などの急性腹症
  • 悪性が疑わしい所見がある/サイズが大きく合併症リスクが高い

緊急例は週数を問わず対応。待機的(計画)に行う場合は妊娠中期(14〜20週頃)が母児とも安定しやすく、状況により腹腔鏡手術が選択されます。

要注意:「卵巣捻転」のサイン

嚢胞・腫瘤がある程度の大きさになると、卵巣がねじれて血流が障害されることがあります。以下は救急受診の合図です。

  • 片側の突然の激痛
  • 吐き気・嘔吐、冷や汗、ふらつき

疑ったら時間を空けずに受診しましょう。

よくある質問(Q&A)

Q1. 赤ちゃんに影響しますか?

A. 多くの卵巣嚢胞は妊娠継続や胎児に直接の影響はありません。評価は超音波が中心で、必要に応じて非造影MRIを追加します(造影剤は原則避けます)。

Q2. いつ手術になりますか?

A. 捻転・破裂などの緊急、または悪性が疑わしい場合は週数に関わらず対応します。待機手術は中期に計画することが多いです。

Q3. マーカーはどれを信じれば?

A. CA125は初期に高く出やすいため単独判断はできません。HE4は妊娠の影響を受けにくいとされますが、腎機能で上がることがあります。最終判断は画像+経過の総合評価です。

Q4. 「妊娠4カ月まではMRI不可」って本当?

A. 誤解です。必要に応じて初期でも非造影MRIは実施可能です。ただし緊急性が低く結論に影響しない撮影は、初期は見合わせる運用の施設もあります。

受診の目安(自己チェック)

  • 毎回の健診で大きさ・見た目の推移を確認している
  • 新しい痛み・張り・吐き気などの症状が出た/強くなった
  • 片側の急激な痛みや出血がある(→早めに受診/救急

まとめ・ご予約

妊娠中に見つかる卵巣の腫れの多くは良性で自然に縮小します。焦らず、大きさ・所見・症状を整理して一緒に方針を決めましょう。必要になっても中期の計画手術腹腔鏡など、母児に配慮した選択が可能です。

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