[性交時痛]性交の途中・後で痛い…原因は?受診の目安と治療
「途中でズキッと痛む」「終わった後から下腹部が刺すように…」——性交時痛は珍しくありません。原因は腟入口のトラブルから骨盤内(奥)の病気まで多岐にわたります。放置せず、まずは原因の切り分けを。
どこが痛い?痛みの部位と特徴
- 腟入口・表面の痛み:ヒリヒリ・しみる。挿入時に悪化しやすい。
- 奥(深部)の痛み:突き上げる鈍痛・刺す痛み。体位で増悪。
- 性交後の下腹部痛:時間差で強まる/体動で悪化することも。
主な原因(入口側/奥側)
入口側(外陰・腟)
- 腟炎・外陰炎(細菌・カンジダなど):かゆみ/白い帯下/ヒリつき。
- 摩擦・乾燥:潤い不足、前戯不足、授乳期・低用量ピル・更年期などで腟の乾燥。
- バルトリン腺嚢胞・膣口の裂創:しこり・片側の腫れ、挿入時痛。
- 骨盤底筋の緊張(膣痙・過緊張):入口で強い抵抗と痛み。
- 皮膚疾患(外陰部湿疹・表皮炎 等):ヒリつき・しみる。
奥(子宮・卵巣・骨盤内)
- 性感染症(クラミジア等)→ 子宮内膜炎・卵管炎:発熱・下腹部痛・不正出血。
- 子宮内膜症/子宮腺筋症:生理痛が強い、排便痛、深部の性交痛。
- 卵巣出血(性交後に増悪):急な片側下腹部痛、吐き気。出血多いと貧血・血圧低下。
- 卵巣嚢腫の茎捻転:突然の激痛・嘔気・冷汗。緊急手術が必要になることも。
- 子宮筋腫・子宮内膜ポリープ:深部痛・不正出血の原因に。
- 骨盤内うっ血・便秘・尿路結石など他科要因:体位・排便で変動。
至急受診が必要なサイン
- 突然の強い片側下腹部痛、冷汗・吐き気・ふらつき(卵巣出血/捻転の疑い)
- 発熱(38℃以上)、悪寒、膿のような帯下(骨盤内感染症の疑い)
- 妊娠の可能性があり、腹痛と出血を伴う(子宮外妊娠など)
- 痛みが時間とともに悪化/立てないほどの痛み
※これらは救急対応が必要になることがあります。迷ったら受診・相談を。
婦人科での検査と診断
- 問診・内診:痛みの部位、体位での増悪、帯下の変化、月経・避妊・性交歴などを確認。
- 腟分泌物検査:カンジダ・細菌性腟症・クラミジアなど。
- 血液検査:炎症反応、妊娠関連検査など。
- 経腟(経腹)超音波:子宮筋腫、卵巣嚢腫、卵巣出血・骨盤内貯留液の有無。
- 必要に応じMRI/CT、子宮鏡など。
治療の考え方
- 感染症・炎症:抗菌薬・抗真菌薬、安静、パートナー評価を含む場合あり。
- 子宮内膜症・腺筋症:痛み止め、漢方、LEP/ホルモン療法、必要により手術。
- 卵巣出血・茎捻転:安静・点滴管理、出血量や所見により緊急手術を検討。
- 腟の乾燥・摩擦:水溶性潤滑剤、十分な前戯、低用量エストロゲン局所療法(適応時)。
- 骨盤底筋過緊張:骨盤底リハビリ、ストレッチ、必要により理学療法・投薬。
- 皮膚疾患:外用薬(ステロイド/保湿)、刺激回避。
よくある質問(Q&A)
Q1. 一度だけ強い痛みがあり、その後も続きます。様子見でいい?
A. きっかけが性交で強い痛みが急に出た場合、卵巣出血・捻転などを除外するため早めの受診をおすすめします。
Q2. 感染症が心配。パートナーも検査が必要?
A. クラミジアなどが疑われる場合は双方の検査・治療が再感染予防に有効です。
Q3. 痛み止めだけで治りますか?
A. 対症療法は一時的に有効ですが、原因治療(感染・内膜症・嚢腫など)が重要です。
まとめ・ご予約
性交時痛の背景はさまざまです。痛みの部位・タイミング・随伴症状を手がかりに、まずは婦人科へ。必要な検査で原因を見極め、薬・リハビリ・外科的治療まであなたに合った解決策をご提案します。