排卵誘発剤を投与すると、卵巣内の卵胞が過剰に刺激され、卵巣が腫(は)れてきます。これを卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といいます。
ほとんどの人はお腹の張りを感じる程度の軽症で済みます。 ひどい人は合併症を併発することも。腹水、胸水がたまってきて、腹痛や呼吸が苦しくなったり、血液が濃縮され、血栓症のリスクが高まったります。また、尿が出にくいまたは、出なくなってくる、体の電解質に異常をきたすなど、重症化すると怖い病気です。通常3・5㎝程度の卵巣の大きさも軽症は約6㎝、重症だと12 ㎝以上にもなります。
残念ながら今のところ根本的な治療法はありません。尿の出を良くするために点滴を打つなどの対症療法に限られます。卵巣が腫れる人には黄体ホルモンの分泌を促すHCGホルモン剤の投与もストップします。
何より重症化する前に対処していくことが大切。排卵誘発剤を投与し、排卵した後に、お腹が張るなどの症状がある方は一度、かかりつけの先生に相談してみてはいかがでしょうか。