今、日本で行われている主な出生前診断は、母体血中のホルモンやタンパク質の濃度を測定する「母体血清マーカーテスト」、羊水を抜き取って調べる「羊水検査」、超音波で胎児の首の後ろを見る「NT」、子宮の中にカテーテルを入れて絨(じゅう)毛組織を取って調べる「絨毛検査」など。検査によっては流産のリスクを伴います。
昨年から話題になっている新型の出生前診断とは、母体血中から胎児のDNAを調べる方法。妊娠10週前後の母親の血液を採取し、胎児由来の遺伝子を調べて染色体異常の可能性を調べるというものです。
日本産婦人科学会は昨年12月、この新型検査について指針案を出し、「極めて簡便に実施可能で、妊婦が検査結果の解釈について十分な認識を持たずに検査が行われる可能性がある」と、問題点を指摘しました。また、「不特定多数の妊婦を対象としたマススクリーニングとしてこの検査を行うのは厳に慎むべきである。十分な遺伝カウンセリングの提供が可能な限られた施設で限定的に行われるにとどめるべきである」などとしています。さらに一般から集まったパブリックコメントをまとめ、3月には指針を確定する予定です。
安易な中絶を増やさないためにも、診断の適切な在り方について議論と検討を重ねることが重要でしょう。