
Sexually Transmitted Diseases (STD) 性感染症
気になる症状や不安は、
性感染症かもしれません。
「最近おりものが増えた気がする」「パートナーと性行為をしたあとに少し不安」──
こうした小さな違和感や不安は、性感染症のサインである可能性があります。
性感染症の多くは、初期症状が少ない、あるいは無症状で進行することもあり、知らず知らずのうちに悪化したり、パートナーに感染させてしまうこともあります。
当院では、クラミジアや淋病をはじめとする各種性感染症について、安心して検査・治療ができる体制を整えています。少しでも不安があるときは、おひとりで抱え込まず、お気軽にご相談ください。
性感染症とは
性感染症とは、性行為によって感染する病気のことで、主に口・性器・肛門などの粘膜接触によってうつるのが特徴です。
匂いや見た目の変化で気づくこともありますが、多くの性感染症は自覚症状がない場合も多く、無自覚のまま状態が悪化しているケースも少なくありません。また自分が感染していることに気づかず、パートナーにうつしてしまうリスクもあります。
性感染症を放置すると男女ともに不妊症のリスクがあるため、早期の発見と治療が重要となります。
当院で対応している検査項目
クラミジア感染症
クラミジアは、性感染症の中でもっとも多い感染症だと言われています。とくに20代前後の若い女性に多く見られ、感染しても自覚症状がほとんど現れないのが特徴です。
そのため、感染に気づかず治療が遅れ、知らないうちに症状が進行してしまうことがあります。結果として、放置されたクラミジア感染は、不妊症や子宮外妊娠といった合併症を引き起こすリスクがあります。
潜伏期間 | 1~3週間 |
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症状 | 女性:おりもの増加、下腹部の痛み、不正出血 男性:水っぽい膿、排尿時の痛み、尿道の不快感、卵巣の炎症 咽頭:発熱や咳など風邪に似た症状 |
治療法 | 抗生剤の内服 |
淋病
淋病は、クラミジアと並んで多くの方に見られる感染症のひとつです。男性は排尿時の痛みや膿で気付くケースが多いものの、女性は比較的症状が軽い方が多い傾向にあります。
症状が進行すると、強い下腹部の痛みや発熱を伴う場合があり、まれに子宮内膜炎を発症するリスクもあります。
潜伏期間 | 2~7日 |
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症状 | 女性:黄色いおりもの、排尿時の痛み 男性:排尿時の痛み、膿が含まれた尿 咽頭:のどの違和感や痛み、扁桃炎や咽頭炎の発症 |
治療法 | 点滴による抗菌剤の投与(1回) |
トリコモナス膣炎
トリコモナス膣炎は、トリコモナスという小さな原虫に感染することで、性器に炎症を引き起こす性感染症です。自然治癒することはなく、治療を行わないと再発を繰り返すのが特徴です。
また、トリコモナス膣炎は女性の方が症状が強く現れやすい一方で、男性は自覚症状がないことが多いとされています。性行為による感染が主な経路ですが、まれに共用タオルや浴槽などから感染することもあるため、子どもに感染するリスクもゼロではありません。
他の性感染症と同様、放置による不妊症リスクがあります。
潜伏期間 | 4~28日程度 |
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症状 | 女性:泡状のおりもの、おりものの異臭、強い痛みやかゆみ 男性:自覚症状はほとんどなし |
治療法 | 錠剤・膣錠による抗原虫薬の投与 |
カンジダ膣炎
カンジダ膣炎は、もともと膣内にある真菌が、免疫力の低下によって一時的に増殖している状態です。性感染症の一種として扱われていますが、免疫力の低下やホルモンバランスの乱れによっても起こりえるため、性行為に限らず発症するのが特徴です。
またカンジダ膣炎は、他の性感染症と比較すると男性に感染しにくいとされており、たとえ感染しても自覚症状が現れるケースは少ないといわれています。
潜伏期間 | 常在菌のため潜伏期間はなし |
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症状 | 女性:ヨーグルトのような白いおりもの、陰部のかゆみや痛み 男性:亀頭包皮炎 |
治療法 | 膣錠による抗真菌剤の投与、軟膏・クリームの塗布 |
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(主に6・11型)の感染により、カリフラワーのようなイボがまばらに生じる性感染症です。見た目に変化が現れやすいため、性感染症の中でも気付きやすいとされています。
なお、3割程度は自然治癒する可能性があるものの、一部は悪性腫瘍として転化するケースもあります。さらに再発しやすいため、感染予防が非常に大切です。
潜伏期間 | 3週間~8カ月 |
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症状 | 男女共通:性器や肛門付近のイボ |
治療法 | イミキモドクリームの塗布、電気メス切除、液体窒素、レーザー焼却、ヨクイニン内服 |
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、唾液中や外陰部に存在しているヘルペスウイルスが原因となる性感染症です。
初感染時には発熱や倦怠感など、全身症状が出ることもあり、とくに女性は再発を繰り返しやすいとされています。一度感染すると体内にウイルスが潜伏し、ストレスや体調不良をきっかけに再発することがある厄介な性感染症です。
感染力の強いウイルスであるにもかかわらず、7割以上が感染に気付かないとされているため、性感染症の中でもとくに蔓延しやすいとされています。
潜伏期間 | 2~10日 |
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症状 | 女性:陰部周辺に痛みを伴う水泡、排尿時の焼けるような痛み 男性:陰部周辺の水泡、違和感やかゆみ、発熱 |
治療法 | 抗ウイルス薬の内服・点滴、軟膏・クリームの塗布 |
梅毒
梅毒は、トレポネーマという細菌が粘膜や傷口から侵入し、さまざまな症状を引き起こす性感染症です。血液に乗って全身へ影響を及ぼすため、放置すると神経や臓器などに深刻な影響をもたらす可能性があります。
さらに梅毒は、症状が1期から4期に分けて進行するという、他の性感染症にはない特徴があります。現在は医療の進歩により、3〜4期まで進行するケースは非常にまれですが、早期発見と治療が重要です。
潜伏期間 | 3週間 |
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症状 | 1期(3週間~):性器や口などの一時的なしこり 2期(3カ月~):全身の発疹、斑点(バラ疹) 3期(3年~):腫瘍(ゴム腫)、全身の炎症 4期(10年~):臓器の腫瘍、神経障害、大動脈炎 |
治療法 | 抗生剤の内服・筋注 |
マイコプラズマ・ジェニタリウム
マイコプラズマ・ジェニタリウムは、比較的新しく発見された性感染症で、クラミジアや淋病と似た症状が特徴です。
そのため症状だけでは区別がつきにくく、通常の検査では見逃されてしまうケースもあります。正確な診断には「PCR検査」や「核酸増幅法(NAAT)」といった検査が必要です。
なお、マイコプラズマ・ジェニタリウムの治療法は、基本的に抗生剤の投与となります。しかしこの菌は抗生剤の耐性を持つことが多く、治療に難渋する場合があります。
潜伏期間 | 数日〜数週間 |
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症状 | 女性:おりものの増加、異臭、下腹部の痛み 男性:排尿時の痛み、膿が含まれた尿、灼熱感 |
治療法 | 抗生剤の内服 |
検査方法
性感染症の検査は、患者様の症状をお伺いした上で、「尿検査」「血液検査」「膣内分泌物検査」「PCR検査」「うがい検査」のいずれかを行います。該当する性感染症が複数疑われる場合、検査を併用するケースもございます。
なお、膣内分泌物検査では、痛みが出ないよう配慮しながら丁寧に検診を行いますので、リラックスした状態で診察台へお上がりください。
検査後の流れ
検査の内容によっては当日に結果がわかる場合もありますが、血液検査やPCR検査などは数日お時間をいただくケースがほとんどです。
再来院時に、治療スケジュールや薬の説明、完治までの注意点などを詳しくお伝えいたしますので、ご安心ください。