新型出生前診断(NIPT)とは、母体から採取した血液で胎児由来のDNAを分析し、胎児の染色体異常を調べる検査のこと。この検査で、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、 13トリソミーの3種類の染色体異常が高い確率で分かるようになりました。陽性判定が出た場合、羊水検査などで確定診断を行います。
検査時期は妊娠10~18週ごろ。検査対象は、35歳以上の高齢妊娠の人、染色体異常の赤ちゃんの妊娠歴がある人などに限定されています。十分な遺伝カウンセリングができると日本医学会が認定した施設のみで検査が可 能。また、自由診療のため、約21万円の費用がかかります。
2013年からスタートし、1年半が過ぎた時点で、同診断を実施している病院グループが検査実績を発表。検査を受けて陽性と判定され、羊水検査などで異常が確定された人のうち、9割以上が中絶という選択をした のが現実です。
日本では、染色体異常が見つかったら、生まれてくるその子を家族がサポートするためにある程度の知識を持っておこうと始まったはずですが、医学の進歩によって検査が簡単になればなるほど、命の選別の方向に進 む恐れもあります。陽性と判定され、産むかどうかの選択に苦しむ妊婦もさらに増えるでしょう。生命とは何なのか、社会がどうあるべきなのかが問われています。