子宮は、通常、前方つまり恥骨側に傾いており、これを「子宮前屈」といいます。一方、子宮が後方に傾いている状態を「子宮後屈」といいます。子宮前屈の人の方が圧倒的に多く、子宮後屈の人は約1~2割といわれています。ひと昔前までは病気の一つとされ、治療の対象でしたが、現在は特に病気とはされていません。子宮は人によって前後左右いろいろな方向に傾いていて、異なっているものです。
子宮後屈かどうかは内診や超音波検査で分かります。子宮後屈が先天性のもので特に生理痛などの症状がないなら問題ないでしょう。自覚症状がないので、検診や妊娠などで婦人科を受診した際に自分が子宮後屈だと分かる人も多いようです。
ただし、病気が原因で子宮後屈が起こっているときは要注意。腸などの臓器と癒着して、その臓器に引っ張られるような形で子宮後屈が起こっている可能性があるからです。癒着の原因で多いのは、子宮内膜症。通常生理で排出される子宮内膜が、子宮以外の場所で生じてたまってしまい、癒着や炎症の原因となってしまうケースです。また、性感染症などが原因で子宮が癒着していることもあります。このように子宮内膜症や感染症が原因の場合は、それぞれの治療をする必要があります。生理痛が強い、経血量が多いなど何か自覚症状があるときは婦人科を受診してください。