一卵性双生児には、一絨毛膜(じゅうもうまく)双胎と二絨毛膜双胎とがあります。一絨毛膜双胎の場合は、母体の中で胎児2人が一つの胎盤を共有し、複数の血 管でつながり合って、血液を互いに送り合います。一方、二絨毛膜双胎の場合は胎盤がそれぞれにあります。
問題が起きやすいのは、一絨毛膜双胎のケース。血管が相互につながる吻合(ふんごう)血管によって両児の間に血流のアンバランスが生じ、羊水や体重にも差が出てきます。これを双胎間輸血症候群(TTTS)と言います。血液を送る側の胎 児は羊水が少なくなって発育不全や腎不全に、血液を受け取る胎児は逆に羊水過多で心不全や胎児水腫になって、胎児の仮死や死亡を来たす恐れがあるのです。
最先端の治療が、「胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術」。内視鏡で確認しながら吻合血管をレーザーで焼き固め、血管のつながりを遮断して血流不均衡を改善するというもので、これまでは県外の限られた施設でしか治療できませんでした が、先日、川崎病院で治療できるようになったと報道されました。
このように膜性でリスクが異なるので、双子と分かったら一絨毛膜双胎か二絨毛膜双胎なのかの膜性診断を受けることがとても大切。前者の場合は、より慎重な妊娠管理が必要です。