以前は、妊娠中に 高血圧、タンパク尿、むくみがあると「妊娠中毒症」と呼ばれていましたが、2005年に「妊娠高血圧症候群」と名前が変わり、定義も変更されました。妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧(上が140以上、下が90以上)が見られる場合や、高血圧でタンパク尿を伴う場合を言い、むくみの症状は定義から削除されたのです。赤ちゃんの発育が遅れるなど注意が必要な病気です。
出産後については、最近の産婦人科学会で発表された次の報告に注目しています。妊娠高血圧症候群になった人は、なっていない人に比べて、将来的に高血圧になって治療する割合が約2.4倍、高脂血症になる割合は約1.4倍という調査結果です。つまり、妊娠高血圧症候群になった人は、なっていない人に比べて生活習慣病になりやすいと言えます。また、母親が妊娠中毒症だった場合、その娘も妊娠高血圧症候群になりやすい傾向があるという結果も。
通常、出産すると血圧が正常に戻るので放置する人が多いものです。しかし、10年後、20年後に生活習慣病になるリスクが高いことを自覚し、日ごろから減塩食や適度な運動を心掛け、定期的に健診を受けるようにしま しょう。