[卵子の凍結保存] 結婚の予定がなく、妊娠・出産がいつになるか分かりません。卵子の凍結保存に興味があります。(34歳・OL)

卵子の凍結保存は、従来、がん治療で卵巣機能を失う恐れのある未婚女性や、不妊治療を目的にした夫婦などに限って実施されてきました。 抗がん剤や放射線治療は、生殖機能に大きなダメージを与えます。そこで、抗がん剤を使う前に卵子を取り出して冷凍保存しておくというもの。がん治療の前に卵巣を摘出して冷凍保存し、治療後に卵巣を移植する方法もあります。
このように、これまではがん患者などが対象でしたが、卵子の保存を考える独身女性が増えている現状を踏まえ、昨年11月、日本生殖医学会は、〝健康な未婚女性〞についても卵子凍結保存を容認するガイドラインを提示しました。ただし、「これは独身女性の卵子凍結を推奨するものではありません。
30代半ばまでに自然妊娠するのが望ましい」とくぎを刺し、①40歳以上の卵子凍結は推奨できない②凍結した卵子で妊娠を試みるのは45歳以上は推奨できないとも言及しています。
保険が適用されず毎年の保管料もかかるため、期間が長くなればなるほど費用がかさみます。出産の可能性を残したいと、保険のように考える人もいるようですが、同学会によれば「凍結卵子を使って妊娠できる確率は10%前後」と有効性は低いのが現状。高齢になるほど体外受精での妊娠率が下がることも覚えておきたいものです。